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お知らせ

2022年・2023年比較「運送業界のDX実態に関する調査」

差し迫る物流の「2024年問題」、2023年の対策進捗と課題は?
動態管理システムの「DoCoMAP」浦嶋社長が徹底解説!




 2024年4月1日から適用される「自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制」。物流の「2024年問題」として課題視されていますが、現場の対応状況や課題の実態はどうなのか、2022年からの定点調査「運送業界のDX実態に関する調査」を、2023年と比較しながら、車両位置情報管理システム「DoCoMAP」を提供している株式会社ドコマップジャパン 代表取締役社長の浦嶋一裕が解説します。



INDEX


・DXが進む倉庫業vs商習慣が変わらない運送業
・遠隔点呼導入により、ITリテラシーの高まりがみえた
・今、DXに求めるのは費用対効果よりコンプライアンス
・まとめ




運送業界のDXはまだ自分ごととして捉えられていない


 まず、「数値化の取り組みが重要だと思うか」に関する調査結果で、2022年よりも5.8ポイントの微増が見られました。しかし、実感値としてはあまり増えているとは感じません。むしろ注目すべきは「あまりそう思わない」「全くそう思わない」が増えている点でしょう。2022年から意識は変わっておらず、自分ごととして捉えられていないとも考えられます。






DXが進む倉庫業vs商習慣が変わらない運送業


 運送業界のDXを進めていくことが重要だと思う理由として、「DXが進んでいないから」というポイントが2022年よりも23.4ポイント減っています。つまり一部ではDXが進んでいるということですが、物流業界は、倉庫業と運送業に分けて考える必要があるでしょう。倉庫業はIT化や省力化が進んでいます。例えば、某大手企業の倉庫では自動走行ロボットが当たり前の世界になっています。





 一方で、運送業でIT化・DXが進んでいる会社はほぼないと感じています。「商習慣が改められておらず非効率そのものだから(57歳)」というフリーコメントが見られるように、運送業は孫請け・ひ孫請けといった仕組みも含め、未だに変わらない部分が大きいことが実態です。





Q<2023年:自由回答・一部抜粋|Q3.運送業界のDXを進めていくことが重要だと思う理由があれば、自由に教えてください。>


・59歳:DXが競争力そのものになっていく。
・57歳:商習慣が改められておらず非効率そのものだから。
・47歳:拘束時間の問題。
・62歳:全ての業務で効率化を求めていかないと労働人口が減少していくなかで、事業運営が回って行かなくなるため。
・55歳:エンドユーザー別に個別梱包・配送のリクエストをうけるなど、出荷形態が多様化しているため。
・44歳:個々に動くので、実働中に全体が把握しにくい。
・61歳:管理費を圧縮。
・54歳:高収益化をはかるために必要だから。





 サービス提供側の目線の実感値としては運送業界のDXが進んでいるとは感じないものの、「DXが十分に進められているか」という調査で「そう思う」が、16.1ポイント上昇しているというのは驚きの結果です。デジタルシステムはそう簡単に入れ替えられるものではなく、基本的には年に1回のタイミングしかない企業がほとんどです。そのなかでDXが進んでいる会社の結果が出てくると思いますので、今後に期待が持てるのではないかと考えられます。






遠隔点呼導入により、ITリテラシーの高まりがみえた業


 「DX推進の課題となっているもの」ですが、「DXに関するノウハウがない」という回答が大きく減りました。一方で、「人材がいない」という回答は増えています。ノウハウはわかってきたものの、まだ人材不足が課題となっているようです。






Q<2023年:自由回答・一部抜粋|Q6.Q5で回答した以外に、自社のDX推進にあたり、課題となっているものがあれば、自由に教えてください。>


・50歳:新たな取り組みへの抵抗。
・54歳:経費がかかりすぎる。
・43歳:危機感がない。
・62歳:DXの投資効果が期待できる規模の事業体でないので、費用対効果から進まない。
・47歳:まず費用対効果を得られるか、既存の業務量がどれくらい増えるのか、漠然とした部分が多すぎてすべて後回しに考えてしまう。
・50歳:経営層の意見が一致しない。
・57歳:現状必要と思っていない。
・44歳:知識不足。





 ノウハウに関しては、勤怠管理の話も含まれるでしょう。2022年4月より運送業界に「遠隔点呼」が導入されたことが大きく関係していると思います。遠隔点呼とは、自動車運送事業者(トラック・バス・ハイヤー・タクシー)が「遠隔点呼実施要領」で定める要件を満たす機器・システムを用いることにより遠隔拠点間での点呼が可能となる制度です。それまでは、優良な営業所にのみ、「IT点呼(IT機器を活用した遠隔地との疑似対面点呼)」が認められてきました。しかし、2022年4月1日より規制緩和が行われ、一定の要件を満たせば導入できる「遠隔点呼」制度が新たにスタートし、多くの運送会社がこの方法にシフトしています。これにより、ITリテラシーや意識が高まった企業も増えています。






今、DXに求めるのは費用対効果よりコンプライアンス


 「DX推進における課題のフリーコメントに、「経費がかかりすぎる」など費用対効果に関する意見があがっていますが、現状のDXは費用対効果よりコンプライアンスの観点で進めるべきことであると考えています。労務管理など、今までやらなくてよかったことを規制によりやらなければならなくなった、というのが運送業界の現状です。そのためにIT点呼や遠隔点呼が政府によって導入されましたが、点呼をIT化したからといって仕事が増えるわけでも従業員の満足度が上がるわけでもありません。効果を求めるのであれば、本格的にDXを進める必要があり、目的が異なってくることも理解しなければなりません。




まとめ


 「2024年問題」に見られるように、規制や管理強化への対策としてのDXは余儀なく進められています。しかし、効率化や売上につながるDXには投資も必要で時間がかかるでしょう。原油価格も高止まりが続く中、運送業の経営側は年々厳しくなる一方で、社会における運送の必要性は年々高まりを見せています。

 株式会社ドコマップジャパンでは、IoT機器の導入が進んでいない運送業者にも低価格で動態管理システムを提供することで、ドライバーの負担軽減をはじめ、業界の働き方改革に貢献しています。システムを導入していただくだけで、ドライバーは自動で連続運転時間や残業時間が入力され、運行中の荷物の積み降ろし場所や時間・荷物量もリアルタイムで把握出来るため、正確な運行日報作成ができたり、「車両の乗り換え」や「1台の車両に2名の乗車」等複雑な業務管理も可能です。管理サイドは、ドライバーの走行位置の把握や、自然災害などの緊急時での配送状況の把握などの管理もできるようになり、物流がまるっと見える化されます。このように、人材不足やITリテラシーに左右されることなく、運用できることこそが運送業界DX推進のカギであり、差し迫った「2024年問題」への対応策としても有効なのではないでしょうか。






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