運送業界のDX実態に関する調査
株式会社ドコマップジャパン(東京都港区、代表取締役 浦嶋一裕、以下「ドコマップジャパン」)は、運送業の経営者・役員101名に対し、「運送業界のDX実態」に関する調査を実施しましたので、お知らせいたします。
■調査サマリー
★本調査のレポートダウンロードはこちら
■調査概要
調査概要:「運送業界のDX実態」に関する調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年3月31日〜同年4月4日
有効回答:運送業の経営者・役員101名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
≪利用条件≫
1 情報の出典元として「株式会社ドコマップジャパン」の名前を明記してください。
2 ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
URL:https://www.docomap.jp/environmental-initiatives
■運送業経営者の68.2%が「運送業界においてもDX推進は重要」と回答
「Q1.あなたは、今後運送業界においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めて、労働時間問題や配送効率・運送利益等の改善などの指標として、あらゆる結果を数値化する取り組みをしていくことが重要だと思いますか。」(n=101)と質問したところ、「非常にそう思う」が36.5%、「ややそう思う」が31.7%という回答となりました。
・非常にそう思う:36.5%
・ややそう思う:31.7%
・あまりそう思わない:14.9%
・全くそう思わない:3.0%
・わからない/答えられない:13.9%
■運送業界のDX推進が重要な理由、6割以上が「ドライバー不足」や「労働時間問題、「ドライバーの高齢化」を回答
Q1で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q2.運送業界のDXを進めていくことが重要だと思う理由を教えてください。(複数回答)」(n=69)と質問したところ、「ドライバーが不足しているから」が65.2%、「ドライバーの労働時間問題」が63.8%、「ドライバーの高齢化が進んでいるから」が60.9%という回答となりました。
・ドライバーが不足しているから:65.2%
・ドライバーの労働時間問題:63.8%
・ドライバーの高齢化が進んでいるから:60.9%
・他業種と比べるとDXが進んでいないから:46.4%
・手続や伝票が紙ベースで業務負担が多いから:27.5%
・小口配送が増え、業務効率が悪くなっているから:23.2%
・運行状況の確認方法がアナログだから:20.3%
・運行管理者が不足しているから:18.8%
・コロナ禍で物流需要が急増しているから:15.9%
・倉庫の空きスペースが不足しているから:7.2%
・その他:2.9%
・わからない/答えられない:0.0%
■他にも「待機時間の短縮と荷役作業の軽減」や「DXによる効率化・高度化そのものが競争力になる」などに期待の声
Q2で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q3.Q2で回答した以外に、運送業界のDXを進めていくことが重要だと思う理由があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=69)と質問したところ、「待機時間の短縮と荷役作業の軽減」や「DXによる効率化・高度化そのものが競争力になる」など52の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・62歳:待機時間の短縮と荷役作業の軽減。
・58歳:DXによる効率化・高度化そのものが競争力になる。
・46歳:燃料費の高騰により、事務所経費の削減などの問題の解消。
・57歳:デジタル化できるところはすべて機械化し出来るだけ配送面は人で対応する。
・49歳:ドライバーへの負担軽減のため。
・52歳:管理方法の効率化のため。
・52歳:属人化の防止。
■一方「DXを十分進められている」と回答したのは、わずか12.9%
「Q4.あなたの会社では、現状DXが十分に進められていますか。」(n=101)と質問したところ、「全くそう思わない」が30.6%、「あまりそう思わない」が44.6%という回答となりました。
・全くそう思わない:30.6%
・あまりそう思わない:44.6%
・ややそう思う:9.9%
・非常にそう思う:3.0%
・わからない/答えられない:11.9%
■自社DX推進の課題、「DXに関するノウハウがない」が51.3%で最多
Q4で「全くそう思わない」「あまりそう思わない」と回答した方に、「Q5.自社のDX推進にあたり、課題となっているものを教えてください。(複数回答)」(n=76)と質問したところ、「DXに関するノウハウがない」が51.3%、「DXに対する明確なビジョンや戦略がない」が31.6%、「現状の業務で手一杯になっており、DXを進める余裕がない」が30.3%という回答となりました。
・DXに関するノウハウがない:51.3%
・DXに対する明確なビジョンや戦略がない:31.6%
・現状の業務で手一杯になっており、DXを進める余裕がない:30.3%
・ITに精通した人材がいない・雇い入れるあてがない:28.9%
・取引先からの理解・協力が得られない:25.0%
・既存システムが複雑化している:11.8%
・現場サイドから抵抗がある:10.5%
・その他:6.6%
・わからない/答えられない:5.3%
■他にも「社員のITリテラシーの低さ」や「元請けのシステム下で業務を行う以上、自社だけでは限界を感じる」などの課題の声
Q5で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q6.Q5で回答した以外に、自社のDX推進にあたり、課題となっているものがあれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=72)と質問したところ、「社員のITリテラシーの低さ」や「元請けのシステム下で業務を行う以上、自社だけでは限界を感じる」など47の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・56歳:社員のITリテラシーの低さ。
・41歳:孫請けの仕事が多く、元請けのシステム下で業務を行う以上、自社だけでは限界を感じる。
・62歳:推進するマンパワーが十分でない。
・62歳:DXが適用できるソリューションを、自社で開発できない。
・59歳:予算がとれない。
・52歳:管理者の知識不足。
・55歳:従業員のスキル不足や、やり方を変えることへの抵抗感。
・65歳:DXの具体的なメリットやコストがわからない。
■DXが進められている業務、「車両の動態管理」「従業員の労務管理」がそれぞれ37.6%で最多
「Q7.あなたの会社では、どのような業務においてDXが進められていますか。当てはまるものを全てお選びください。(複数回答)」(n=101)と質問したところ、「車両の動態管理」が37.6%、「従業員の労務管理」が37.6%、「運転日報作成の自動化」が24.8%という回答となりました。
・車両の動態管理:37.6%
・従業員の労務管理:37.6%
・運転日報作成の自動化:24.8%
・物流管理システム:22.8%
・顧客・請求管理:19.8%
・車両管理(整備も含む):18.8%
・送り状・荷札・伝票など発行システムの導入:15.8%
・IT点呼の導入:14.9%
・入出荷検品の自動化:7.9%
・求貨求車のマッチング:5.0%
・自動搬送ロボットの活用:2.0%
・その他:2.0%
・わからない/答えられない/一切進められていない:34.7%
■今後DX推進に注力したい業務、「労務管理」や「車両の燃費管理」など
「Q8.あなたは、今後どのような業務のDX推進に注力していきたいと思いますか。(自由回答)」(n=101)と質問したところ、「労務管理」や「車両の燃費管理」など71の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・57歳:労務管理。
・46歳:車両の燃費管理。
・62歳:車両の整備&故障記録のデジタル化。
・57歳:自動仕分け。
・58歳:最適配送のソリューション化。
・52歳:IT点呼。
・57歳:オペレーションと連動した顧客管理。
・57歳:運行指示書、日報の機械化。
■燃料価格の高騰化に対して、9割以上が「危機感を感じている」と回答
「Q9.あなたは、2022年春の燃料価格の高騰化に危機感を感じていますか。」(n=101)と質問したところ、「非常に感じている」が69.2%、「やや感じている」が23.8%という回答となりました。
・非常に感じている:69.2%
・やや感じている:23.8%
・あまり感じていない:2.0%
・全く感じていない:3.0%
・わからない/答えられない:2.0%
■危機感を感じている点、83.0%が「コストの大幅アップによる利益率の低下」と回答
Q9で「非常に感じている」「やや感じている」と回答した方に、「Q10.燃料価格の高騰化によって、どういった危機感を感じているか、教えてください。(複数回答)」(n=94)と質問したところ、「コストの大幅アップによる利益率の低下」が83.0%、「このまま価格が下がらなくなる」が41.5%、「経営持続の難化(運転資金の枯渇・追加借入が厳しい)」が30.9%という回答となりました。
・コストの大幅アップによる利益率の低下:83.0%
・このまま価格が下がらなくなる:41.5%
・経営持続の難化(運転資金の枯渇・追加借入が厳しい):30.9%
・人件費を削減せざるを得ない(すでに削減出来るところはやり尽くした):19.1%
・その他:3.2%
・わからない/答えられない:2.1%
■他にも「価格転嫁が困難」や「事業の継続、雇用の維持が難しくなる事」などの危機感の声
Q10で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q11.Q10で回答した以外に、燃料価格の高騰化による危機感があれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=92)と質問したところ、「価格転嫁が困難」や「事業の継続、雇用の維持が難しくなる事」など57の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・57歳:事業の継続、雇用の維持が難しくなる事。
・58歳:経費がかさみ、従業員にボーナスの金額を上げてやれない。
・57歳:顧客も影響を受けており値上げ交渉も進まない。
・62歳:暫定税率と二重課税が一向に解決されない。
・52歳:業界全体の車両の減少。
・52歳:設備投資資金の枯渇。
・52歳:省エネを考え新車の購入を考えたが、トラックの価格自体も3割程高くなっており改善のしようがない。
■燃料価格の高騰化への対策、「燃料サーチャージの導入」や「デジタコ使用による省エネ運転」など
Q10で「わからない/答えられない」以外を回答した方に、「Q12.あなたの会社で、燃料価格の高騰化への対策として、行っている取り組みがあれば、自由に教えてください。(自由回答)」(n=92)と質問したところ、「燃料サーチャージの導入」や「デジタコ使用による省エネ運転」など58の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・52歳:燃料サーチャージの導入。
・57歳:デジタコ使用による省エネ運転、インタンクによる経費圧縮。
・52歳:省燃費運転手の表彰。
・59歳:急発進や急ブレーキ等を極力避けて、エコドライブの推進。
・57歳:荷主への値上げ交渉。
・61歳:案件ごとにお客様に運賃の割り増しをお願いする。
・57歳:ルートの最適化。
・57歳:アイドリングの減少。
■運送業経営者の76.2%が、「DXの実現によって、運送をより一層効率化していく必要性」を実感
「Q13.今後DXの実現によって、運送をより一層効率化していく必要性が高まっていくと思いますか。」(n=101)と質問したところ、「非常にそう思う」が38.6%、「ややそう思う」が37.6%という回答となりました。
・非常にそう思う:38.6%
・ややそう思う:37.6%
・あまりそう思わない:9.9%
・全くそう思わない:4.0%
・わからない/答えられない:9.9%
■運送効率化が必要な理由、「DXによる効率化・高度化が競争力になるから」や「EC化が進み流通が大きく変化しているため」など
Q13で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方に、「Q14.運送を効率化していく必要性が高まっていくと思う理由を教えてください。(自由回答)」(n=77)と質問したところ、「DXによる効率化・高度化そのものが競争力になる」や「EC化が進み流通が大きく変化しているため」など53の回答を得ることができました。
<自由回答・一部抜粋>
・58歳:DXによる効率化・高度化そのものが競争力になる。
・53歳:業界維持のため。
・60歳:EC化が進み流通が大きく変化しているため。
・62歳:ドライバーは本業の運転に集中すべき。
・52歳:業務の効率化が燃料や水道光熱費、人件費等の削減につながると考えている。
・52歳:運転手が不足している上に、今後も成り手が増える要素が無い為。
・41歳:人手不足、環境保護の観点からも効率化は必要。
・57歳:今以上に人手不足になるから、生産性の向上は必須。
■まとめ
今回は、運送業の経営者・役員101名に対し、「運送業界のDX実態」に関する調査を実施しました。
まず、運送業経営者の68.2%が、「運送業界においてもDX推進が重要」と回答しました。その理由として、「ドライバー不足」(65.2%)や「労働時間問題」(63.8%)、「ドライバーの高齢化」(60.9%)が挙がりました。他にも、DX推進によって「待機時間の短縮と荷役作業の軽減」や「DXによる効率化・高度化そのものが競争力になる」などに期待の声も挙がりました。
一方で、「DXを十分進められている」と回答したのは、わずか12.9%の結果に。自社DX推進の課題として、「DXに関するノウハウがない」が51.3%で最多、他にも「社員のITリテラシーの低さ」や「元請けのシステム下で業務を行う以上、自社だけでは限界を感じる」などが挙がりました。また、DXが進められている業務について伺うと、「車両の動態管理」と「従業員の労務管理」がそれぞれ37.6%で最多の結果となりましたが、次いで多い意見は「わからない/答えられない/一切進められていない」が34.7%となり、DX化によって何が出来るのかイメージができない場合が少なくないことが明らかとなりました。
次に、2022年春の「燃料価格の高騰化」に対して、9割以上が「危機感を感じている」と回答しました。また、危機感を感じている点について、83.0%が「コストの大幅アップによる利益率の低下」と回答。他にも、「価格転嫁が困難」や「事業の継続、雇用の維持が難しくなる」なども挙がりました。そこで、燃料価格の高騰化への対策について伺うと、「燃料サーチャージの導入」や「デジタコ使用による省エネ運転」といった取り組みを行っていることが分かりました。
最後に、運送業経営者の76.2%が、「今後DXの実現によって、運送をより一層効率化していく必要性」を実感していると回答しており、「業界維持のため」や「EC化が進み流通が大きく変化しているため」などの理由が挙がりました。
総評として、常日頃ドライバー不足や長時間にわたる労働時間などの課題と向き合っている運送業の経営者にとって、運送業界のDX推進が重要な意味を持っていると捉えられていることが分かりました。DXの重要性は理解できても、推進が進んでいない場合がほとんどで、運送業において何をどう進めていったらいいのかが不明確のままであることも明らかとなりました。物流需要は、今後益々増える傾向にある中で、いち早くDX化を取り入れる企業が、他社との差別化を図れると言えるでしょう。どこから始めるべきか悩んだ際は、まず運送業に特化したDXツールを取り入れることから始めてみてはいかがでしょうか。
★本調査のレポートダウンロードはこちら